各レイヤの位置づけ

図1・14に示すA社の商品係からB社の商品係に連絡メモと商品サンプルとを郵便で送る場合にたとえて,7つのレイヤを説明してみましょう.まず,このような商談でのやり取りを行うことそのものがアプリケーション層の内容になります.プレゼンテーション層では,連絡メモと商品サンプルを,この商談に合った形式に変換します.セッション層では,送信する連絡メモとサンプルとをそれぞれ包装します.トランスポート層では,連絡メモと商品サンプルをまとめて,B社商品係宛に箱詰めします.ネットワーク層では,B社の他部署(図では総務)宛の箱と併せて,B社宛の荷としてまとめます.データリンク層では,B社以外の宛先の荷と併せて近所の郵便局行きの便にまとめます.物理層は,トラック便が運行可能な道路などの物理的なインフラになります.

会社間の郵便を使った商談の例えによる説明

下位レイヤの位置付け

物理層からトランスポート層までの4つのレイヤは,下位レイヤと呼ばれます.下位レイヤはいずれもデータの運び方に関する約束ごとですが,それぞれ守備範囲が異なります.図1・15に,下位レイヤがそれぞれ担当する範囲を示します.このたとえでは,端末は会社に,ノードは郵便局にそれぞれ対応します.データリンク層では,隣り合った建物(会社と郵便局との間,もしくは郵便局同士の間)でのデータの運び方に関する約束ごとです.すなわち,端末とノードとの間,もしくはノード同士の間の約束ごとです.このデータリンク層が提供する機能を用いて,ネットワーク層では一方の会社(端末)から他方の会社(端末)までデータを運ぶ機能を実現します.トランスポート層では,会社内(端末内)の機能の単位である商品係から,他方の会社内(端末内)の機能の単位である商品係までデータを運ぶ機能を実現します.

下位レイヤの位置づけ

上位レイヤの位置づけ

セッション層からアプリケーション層までの3つのレイヤは,上位レイヤと呼ばれます.図1・16に,上位レイヤそれぞれの役割を示します.アプリケーション層では商談のため,連絡メモや商品サンプルとして食用鮭を送ろうとしています.プレゼンテーション層では,連絡メモは英文,鮭は切り身というような形式を規定します.セッション層では,連絡メモと鮭の切り身とを区別して包装します.

上位レイヤの位置づけ

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2009年3月31日更新